高所平気症にならないための暮らし方と遊び方

高所平気症

「高所平気症」は生まれた後から身につくものなので、普段の暮らし方や遊ばせ方で予防する方法はあると織田先生はおっしゃります。さっそく聞いていきましょう。

高いところを意識できるような暮らし方をする

織田正昭
― それでは「高所平気症」を予防する方法を教えていただけますでしょうか?

例えば、日々のちょっとした暮らし方で意識が変わります。高層階に住んでいる方は子どもも含め、外出するときにエレベーターを使いますよね。帰宅するときも同じです。エレベーターはいったん乗れば、高さを感じることなく一気に住んでいる階や1階まで運んでくれます。このこと自体は便利ですが、生活体験の少ない子ども達にとって、こうした日常の生活行動の繰り返しは高所感覚の発達の遅れや麻痺につながります。 ですので、少なくとも子どもと外出するときは4~5階で降りて、後は外階段で1階まで降りていく、というのも予防法のひとつです。

― なるほど、気が付きませんでした。

もちろん、短期的に効果があるのはベランダで遊ばせないことや、ベランダにテーブルや椅子、プランターなど子どもの踏み台になるようなものを置かないことです。またお母さんがベランダに出れば子どももついてくることがありますが、子どもに背を向けるような姿勢はとらないほうがいいですね。 ベランダだけでなく、窓にもしっかりカギをかけて、周りに机やベッドなど、踏み台にして窓を乗り越えてしまうようなものを置かないようにしたいものです。

子どもの遊びを確保することがやっぱり大事

― 長期的な視点でできる予防法というのもあるんですか?

やはり、私が最初に申し上げた外遊びをさせることですね。私の子ども時代は木登りでしたが、今は公園に行けばすべり台、ジャングルジム、ぶらんこなど、高さ感覚を養えるものがいろいろあります。このくらいの高さから飛び降りたらケガをするという経験から危機を回避する能力も培われます。 専門的に言うと、こうした神経感覚系の発達は4歳で大人の80%レベル、小学校入学時には90%のレベルに達します。つまり、未就学児の間に外遊びをして神経感覚系を発達させないと、後からでは発達が難しいというわけです。

高所平気症
― でも、忙しいお母さんは外遊びに連れていくのが大変ですね。

そうですね。子ども同士の遊びも、今は時間がない、場所(空間)がない、仲間がいないと言われていて、少なくなってきていますね。特に最近の公園はボール遊びはダメ、騒いではダメというように、子どもが無邪気に遊べるような場所でなくなってきていることも事実です。 ここ福島県でも東日本大震災による原発事故の影響で子どもの外遊びが制限されていますから、体力不足や肥満といった問題がクローズアップされています。 子どもの体力不足や成長エネルギーが発散できないという問題は、さまざまな問題を引き起こしますから、なるべく外に連れ出して、遊ばせてあげてほしいですね。

― 今日はどうもありがとうございました。
プロフィール
織田正昭先生
織田正昭福島学院大学福祉学部教授、博士(保健学)。長野県出身、東京大学医学部卒。元々は免疫微生物学やワクチンによる小児感染症の予防が専門であるが、現在は母子保健学、公衆衛生学、子ども環境学まで分野を広げて活躍されている。

 

 

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