今回は子どもにとって、どんな風に外遊びが大切かを専門家に説明していただきました。忙しいお母さんにとって子どもを外遊びに連れ出すのもたいへんですが、実は最近、スキップができなかったり、ボールを上手くよけられずに顔面をケガしたり……現代の子どもたちの運動能力の低下は、外遊びの減少と大きく関係しているようです。児童福祉、教育学、都市計画がご専門の荻須隆雄先生にお話をうかがいました。
子どもにとっての外遊びは、成長に不可欠なもの
― そもそも、大人の遊びと子どもの遊びは違うのでしょうか
大人の遊びの代表的なものにゴルフ、麻雀や競馬がありますが、このような大人の遊びは、非生産的活動と受け止められることが多いですね。これに対し、子どもにとっての遊びとは、日常行動そのものを指します。たとえば、はう、つかまり立ち、伝い歩きができる頃の乳児には、ティッシュペーパーの箱を空っぽにするまで引っ張り出したり、タンスの引き出しを開けて、中のものを全部出してしまうなどがみられます。親にとっては困った行動に思えます。このような行動は、子どもが実物に接して確かめるための遊びです。こうした生活を通して経験するすべてが知識となって身に付き、また発育・発達のベースにもなっていきます。大人の遊びに比べて、不可欠な活動ですね。
大人の遊びと子どもの遊びの違いについて、19世紀末から20世紀初頭にかけて、子どもが外遊びできるような遊び場づくりに尽力し、米国で「レクリエーションの父・遊び場の父」と称されているジョセフ・リーは、「大人にとっての遊びは、生活の変化を得るためのレクリエーションであるが、子どもにとっての遊びは、成長に不可欠なものである」という有名な言葉をのこしています。

― 具体的に、子どもが遊ぶことによって起こる心身の変化とは?
まず、体を動かす遊びによって、首、胴体、腕、手首、指先などを動かす運動発達が助けられます。また、いろいろなものを見たり、聞いたり、触ったりすることで、感覚・知覚器官の感受性が高まります。記憶、物事の関連性の理解、想像、思考などの知的能力も発達します。このほかにも、大人、兄弟や友達と一緒に遊ぶことで、人を信頼することや思いやることなど、基本的な人付き合いの仕方を身に付けていきます。また、嫌なことがあったときに、遊ぶことによってこころを癒すこともできる、とも言われています。つまり、子どもにとって、遊びは人間形成の土台となる大切な活動と言えます。
次は「公園は”運動能力を養う理想の空間」に続きます。


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