遊びへの提言

VOL02

遊びへの提言

外遊びの重要性

元 玉川大学教育学部教授
荻須 隆雄 先生

公園は運動能力を養う
理想の空間

― 遊びと言ってもいろいろな種類がありますが

遊びは、遊び方、遊びの内容、使われる道具などによって、ひとり遊び・集団遊び、ままごとに代表される「ごっこ遊び」、しりとり・なぞなぞなどの「言葉遊び」、かるた・お手玉・竹馬等の「伝承遊び」、身体運動を伴う「運動遊び」などに区分されます。また、遊びの場所が建物の内か外かによって、「屋外遊び」と「室内遊び」とに分けられます。

人間としての土台をつくるうえで、屋内での玩具遊び、折り紙、絵画や絵本・本を読む・聞くなどの遊びも大切ですが、近年の幼児や小学生等の生活に関するさまざまな調査結果をみると、屋外での身体運動を伴う「運動遊び」の機会、時間が減少しています。保護者・大人たちに、特に屋外での「運動遊び」の重要性を理解して欲しいですね。

自宅の室内、特に集合住宅では、子どもが走り回る、飛び跳ねるなどの動きは、親から禁止されることが多いでしょう。室内中心の遊びだけではなく、子どもが公園等で遊具を使い、外気に触れ、適度に日光を浴びながら全身を動かして思いっきり走る、滑る、登るなどの遊びができるように、保護者が生活リズムをつくることが何よりも重要だと思います。

― そういった意味では、公園は理想的な遊び場ですね

はい。公園には思いきり動き回ることのできるスペースが確保されています。また、公園によって違いがありますが、年齢層に応じたぶらんこ、すべり台、鉄棒、ジャングルジムなどの遊具も設置されています。登る、滑り降りる、回転する、走る、蹴る、投げる、ジャンプするなど…さまざまな運動を通して「生きる力」となる健康・体力が培われます。草花、昆虫、落ち葉等を観察する、触れる、風による樹木の葉の音を聞くなど、自然物との触れ合いによって五感が刺激され、好奇心も養われるでしょう。

幼児期に培われた好奇心は、その後の小学校でのさまざまな学習の基礎となります。健康・体力の基礎をつくるためにも、幼児期から小学校の時期は、全身を動かす屋外での運動遊びが大事であることに、保護者や地域の大人の理解が欲しいものです。

― スポーツクラブ等で体を動かしていれば、外遊びは必要ないのでは?

クラブや習い事等で何かのスポーツに夢中になることはよいことです。しかし、特に幼児期〜小学校低学年の間は、運動神経が養われる時期と言われています。したがって、全身をつかったいろいろな運動を経験できるような工夫、気配りが大切です。例えば、クラブチームでサッカーに励めば、確かにボールを蹴る、走る等のサッカーで求められる技術は向上するでしょうが、これだけでは特定の運動に偏ってしまいます。
体を動かすことが好きになり、運動神経が養われるために、短時間でもいろいろな遊具がある公園などの屋外で、思いきり体全体を動かすことが日々の生活の中で習慣化されるように、保護者の配慮が必要でしょう。

次は時代は保護者が"子どもを積極的に外遊びに誘い、参加する"時代に

荻須隆雄先生

東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。旧厚生省児童家庭局育成課主査(厚生技官)、埼玉県立大学保健医療福祉学部教授等を経て、2013年3月まで玉川大学教育学部教授。博士(学術)。主な著書に『遊び場の安全ハンドブック』(共著 玉川大学出版部 2004、こども環境学会:第1回こども環境論文賞受賞<2006年4月>)、『保育所における事故防止・安全保育』(共著 日本保育協会 2003)など